地福寺(気仙沼)

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2015年9月4日金曜日

秋彼岸「信心とは、心の方向転換である」


お彼岸は「彼の岸」(向こう岸)つまり仏さまの世界であり、悟りの世界のことです。この「ヒガン」に「日願」という字が当てられることがあります。

日本人は、お日さまをとても大切に拝んできました。ですから、太陽が真東から出て真西に沈むとともに、昼と夜の長さが同じ秋分(春分)の日は、とりわけ重要な節目だったのです。あるお経に、東方は薬師如来の浄土だとされています。つまり、お彼岸の朝、まず東の朝日を拝むことは、病気を治し安楽を与えてくださる薬師さまに健康を願う、日願(お日さまに願う)になるのです。そしてもちろん西方は、阿弥陀さまの極楽ですね。仏さまを固く信じて亡くなったり、また供養を受けたご先祖さまは、ここで心安らかにお過ごしだと信じられています。即ちお彼岸に沈む夕日に手を合わせれば、そこは正真正銘、真西の極楽の方向であり、夕日にご先祖様の安らぎを願う・・・日願となるのです。

朝は東に家族の健康を祈り、夕には西にご先祖さまへの感謝の祈りを捧げる。では日中は・・・?ご供養やお墓参りはもちろん大切です。でもそれだけでは足りません。お彼岸の一週間は、お釈迦さまの教えに親しんで、私たちの住む迷いと苦しみ多きこちら岸(此岸)から、安らぎの向こう岸(彼岸)に目を向けて努力していこうと、自らの生き方を謙虚に見直して、信心を新たにする期間でもあるのです。

人の一生は、
おてんとうさまと握飯を負うて、
風光佳なるところに遊ぶが如し。
人に喜んでもらうことをもってのみ、
おのれを活かす道と知るべし。
(仏教研鑽会『日票式人生読本』より)

という味わい深い言葉があります。私たちは誰もが、生きるために必要なものをすべてタダで与えられて、景色の美しいところを巡りながら、一生かけて旅をすることを許されています。その私たちができる唯一の恩返しは、ご縁あって同じこの社会に生かされているお互いが、やさしい気持ち(慈悲の心)を向け合って、仲良く暮らすしかないという教えでしょう。

このお彼岸の一週間、まずは「わたし」から、この方向に一歩進んでみませんか?

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